29.マインド・コンプレックス

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シルバーワスプをやられたばかりのスタンスに苛立ったようだ。隊列を組んで突撃を始める。一発でも掠めさせようと云う腹らしい。出し得る全開の速度を絞り出して、前進した。コメットビットが援護として光弾をばらまく。 ---! 光弾の弾幕はシェリルの進路を狭める。自ずと軌道が象られて来たのを見て、シルバーワスプは突起を差し向けた。 が、シルバーワスプの突撃にシェリルは面と向かい合う。光弾は敵方の放った援護、弾幕の厚みで敵の進路も明白になる。 危機感を持ったシルバーワスプの隊列は散らばろうとするが、その思考を終えた時には、 シェリルが前にいた。 「オーバーレイ!」 閃光が駆けると同時に二体のシルバーワスプが両断される。 シェリルは方向転換して再度追撃を試みるが、コメットビットが集結して光の網を張る。触れればダメージを受けるだろう、たまらずシェリルは退いた。 壁まで退こうとした時、シェリルの身に違和感が重なる。 (えっ…?) 目算で見積もった位置に壁が無い。退却が浅かったのだろうか、すぐに天井にレイピアを突き立てて静止する。 振り向くと、エヴァ=グリーンの発光の下、壁が頼りなく揺れている。光の加減にも見えるが、心無しか遠く見える。 「これは…?!」 目前の事象を解しようとした時、コメットビットがシェリル目掛けてレーザーを放った。 視界が、光に閉ざされる。影をも飲み込む光臨。
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