29.マインド・コンプレックス

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デウスエクスマキナ2はスクァッシュの存在を認めたが、動きに大きな変化は無い。纏めて対処する腹積もりだろう。 「うん…?」 「どーした、リク?」 向かい合うデウスエクスマキナ2には上段の右腕が無い。先程と同じ相手だ。 「まさかアイツ…ドアを使わずに先回りして来たのかよ?!」 「どういう事?」 リクはスクァッシュの被り物に手を当てる。召還体は魂から現出する存在である故に、術者と記憶を共有出来るのだ。 「…ありゃ機械だぜ?物体透過なんて術組み込む事なんて出来ないよ。」 デウスエクスマキナ2に限らず魔力を動力源にする機械は機械である以上、術式を組み込み過ぎると構造が複雑になって作動が難しくなってしまう。人間の肉体と違って金属や機械は魔力と本来的に同化しにくい。魂から派生する気と同義が所以だ。様々な材質の部品一つ一つを魔力と同化させるのは不可能に近い。 「じゃあ何で先回り出来んだよ…?!」 「隠し扉とか?」 「あんなデケェ図体が入れる扉なんて隠せるか?」 「壁壊してる?」 「気付くわ!」 「テレポーテーション…」 「バカ!」 「バカっつう方が…」 口論の火蓋が切り落とされる前に、デウスエクスマキナ2が光線を乱射する。
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