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ワイルドキューブ内、南ブロック。
「……つぅ…。」
地面に倒れ伏し、呻くシオの肩にカークスは無遠慮に石突きを押し付けた。
「あ、ぐぁっ!」
「顔馴染みとはいえ…生徒いたぶるのは気が引けるなぁ~。」
行動と矛盾した発言を悠々と放つカークスをシオは睨み上げる。
「だったら…外せよっ…!」
「んじゃ降服しな。」
石突きをグリグリ食い込ませ始める。
「っくうぅぅぅ…!」
「お前もまだまだだよなぁ、ホント。」
カークスの実力は高い。シオも魔法の特性やポテンシャルの高さがあるが、カークスとはそれ以前に相性が悪かった。土や砂があれば全距離カバー出来、また風で対抗しにくい地殻系魔法を得意とするカークスはシオにとっては苦手な部類だ。加えてカークスは白兵戦でも引けを取らない。
「あー…ヤニヤニ…。」
反撃出来ぬよう抜け目なく踏みつける力を調節しながら、懐から煙草を取り出そうとする。
「カークス、は…」
「あぁん?」
「何で生徒の前じゃ性格変わるんだ…?」
「与太話たぁ珍しい。」
流そうとしたが、シオの真っ直ぐ見上げる空色の瞳と合ったカークスは箱から煙草を取り出す手を止めた。
「ンだよ…そんな目でみんなよ…。」
バツの悪い顔をしてもシオの目力は衰えない。
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