29.マインド・コンプレックス

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「まー夜明けまで待ってられないんだよなぁ。」 カークスの呟きと同時に、シオがテンペストゾーンとデザートダウンを相殺させた。砂に削がれたブレザーをはためかせながら、杖に青い大気を溜める。 「ヘヴンリーウィン…」 「残念、と。」 カークスの背後には大量の尖った岩が浮かんでいた。 「キャッスル・ザ・ベレネ。」 無情な一撃が、次々と折り重なる。浮遊している岩が一発、また一発とシオ目掛けて突っ込んでいく。 シオの小柄な体躯を埋め尽くすのにそれらの岩は充分だった。一撃一撃が重なる毎に岩が床に突き刺さり、砕け、弾け飛ぶ。土砂が飛び交う中、シオの影は無言に沈む。 「ハナから真面目にぶつかり合うワケねーだろぉ?」 「俺もだよ。」 頭上から声が降ってきたのに、カークスは小さく動揺する。 シオの体が宙を舞っていた。既に杖を差し向けている。先程のヘヴンリーウィンドは体を空に打ち上げる為の布石だった。 「何…?!」 「エアリアルブルー!」 「っっ!」 キャッスル・ザ・ベレネを盾に回すが青い大気の奔流は真っ直ぐとカークスに突き立てられた。 岩とのぶつかり合いで、凄まじい圧力の青い波紋が空間に広がり、 全てを震わせた。
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