29.メイク・ミー・ハイ!

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ワイルドキューブ内西ブロック。 ラウルはプレートを重ねる。システマチックに、ロジカルに。その手捌きは美しかった。無駄の無い、シャープさがただ光る手捌き。 影法師は傍観している。無表情だが無思考では無いとは見てわかる。狡猾な、粘着質な視線が虚無的な顔から漂っている。 プレートは床に四組、縦に三組ずつ一対、配置してある。内蔵されている術は不明、加えて露骨に誘い込んでいる陣形。通常は先手を踏む事を躊躇う局面だが、今回は必ず相手が先手を踏むとラウルは読んでいた。 影法師は黙して立ち尽くす。 ラウルはそれを黙して見返す。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 影法師が揺れた。 「バーストマイン!」 賺さず床に並べたプレートから爆炎を生じさせる。 「スプリングショット!」 更に縦に並べたプレートから無数の飛沫が飛び出す。 爆炎も飛沫も何かしらの物体を的確に捉え、破壊したかのような結果は残していない。だが、火や水は影法師の前方に位置していた別の輪郭を確かに炙り出していた。 「やっぱり…!」 ラウルは歓喜を溢れさせながら、更にプレートを発動させた。床に配置していたプレートは二枚重ね。爆破で上昇させたプレートが術を放ちながら降ってくる。 「ゴーストアッシュ!」
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