29.メイク・ミー・ハイ!

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試験前、控え室にて。 「ダンジョンプレイ…をどうすんだって?」 シオのダンジョンプレイをベースにするという案の全容が掴めず、リクは首を傾げる。 「連携が取れないなら、全員が同じ場所にいるようにすればいい。お互いに分かり易い手段でワイルドキューブの中が迷路みたいに隔絶されていたら壁を壊す、空間隔離なら空間の境を壊す。どんな手を使っても集まれる形にして、みんなでセントラルコアを目指すんだ。」 真顔で語る破壊的な提案にラウルは目を見張った。 「確かに、単純で最も合理的かもしれないけど…。そんな上手く行くのかな?」 「俺のアトモスフィアがある。」 シオは確信を表にして云った。嘗ての嫌悪感は不思議と息を潜めていた。 「アトモスフィアは最大出力で放てばダンジョンプレイの迷宮の壁くらいは粉砕できるんだ。魔力の消費は大きいけど…。後、アトモスフィアの使用で発生する粒子には魔力中和と紙一重違う作用を持つんだ。」 「もう一つの、作用?」 「魔力共有作用。」 一同は目を見合わせた。問いを投げ掛けたシェリルは更に尋ねる。 「魔力を中和して無力化させるアトモスフィアにそれが出来るの?」 「正確には無力化じゃなくて放出。魔力を中立化して放出させてしまうんだけど、共有はその過程が無いんだ。魔力を互いに保有し合う、一時的な一体化状態になる。その間は一つの魔力を皆で感じ合うような…そんな感覚になるんだ。」
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