29.メイク・ミー・ハイ!

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「その感覚を頼りに集まる訳ね?」 「うん。」 しばし、無言の間が出来る。突飛な気らいはあるが、シンプルで合理的な策だ。 だが実行するとなれば一つ、気になる点がある。 「あのよ…。」 リクがそれを指摘した。 「もしそれをやんなら、シオにかなり責任が掛かるぜ?シオにも俺らと同じ難易度の実戦させられるんだったら、ツラいんじゃないのか?」 「俺は最優先で皆を繋ぐ。」 「そこにしゃかりきになっとお前が危ないぜ?それに俺達だってその合図までに自分達の戦いを終わらせられるかどうか…。」 「終わらせる事なんて無いよ。この試験の目的はセントラルコアまでの到達であって敵の打倒じゃないから。それを忘れさせない合図でもあるんだ。独りきりの戦いに溺れないようにする為の。」 シオの言葉に一同が頷く。 「…でも皆、その心配は無いと思うけどね。」 擽られたようにシオは笑った。 「例え難しくても、仲間を意識しながら最善の戦い方が出来て、確実に終わらせる力を皆は持っているから。 …俺は、信じている。」 「ンなの、俺もだよ。」 「僕も。」 「…私もよ。」 皆が笑い合う。一繋ぎの笑顔は、皆を一つの輪に変えていた。
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