29.メイク・ミー・ハイ!

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戻って、ワイルドキューブ。 カークスが咄嗟に展開した岩の壁にぶつかり、拡散したエアリアルブルーは分厚い波と化して広がる。凄まじい波濤となったエアリアルブルーは部屋全体に及び、壁に衝突し、 壁をグニャリと歪ませた。 「っ?!」 狙いがエアリアルブルーの拡散にあると悟ったカークスは再度キャッスル・ザ・ビレネを動かして壁を埋めようとする。 岩が動き、視界が開けた瞬間、 四つの武器に取り囲まれている事にカークスは気付いた。完全に虚を突かれ、激変した状況に顔を強ばらせる。怒りに似た情動が疼いている事に気付きながらも、カークスはゆっくりと視線を巡らせた。 正面から、杖を胸元に差し向け、凛々しい面立ちでカークスを見据えるシオ。 右に、鳳嘴の切っ先を喉元に突き付け、その相手に目を見開かせるリク。 背後に、レイピアを背中に触れさせつつ、相手を認識しながらも涼やかな瞳を投げ掛けるシェリル。 左に、的確な位置にプレートを配置させ、まだ急展開への驚きが退いていないの伺わせるラウル。 一同、凛然とした佇まいを保ち、霞のように青い残照を纏わせていた。 「こ・い・つ・らー…。」 苦々しげに、敗北を噛み締めて。 カークスは教え子達を見下ろした。 、、、、、、 してやられた。
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