5.イン・フィーリングス

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まだ喧々とした空気の道場に聞き覚えのある声がスピーカーを通じて、道場内に広がる。 「一年生は係の指示に従って定位置に着くよう。必要な器具を出す。」 リカルドのアナウンスに従って、生徒会の学生がシオ達を誘導する。 シオ達は十人に分けられ、中央に互いに向かう形で二列に並ばされる。左右と正面に10mほど間隔を開けている。 すると中央の畳の境が開き、中から奇妙な物体が飛び出してきた。 大きさは2m程、先が円形の、棺桶のような形をしている。全体は黒ずんだ銀色をしているが、丸みを持つ部分には白く楕円形塗られ、そこには目に見立てた角張った黒い渦が二つ、その下には三日月の形の口があり、等間隔の黒い縦線で歯が描かれている。 顔の下、人間でいう胸の位置には縁取られた別の円があり、側面には手やら足を表していると思われる黒い線が描かれている。 そんな奇妙なオブジェが独りでに浮かび上がり、中央に出来た穴から飛び出して立っている生徒前に並んだ。 「君達のインストラクター、実技演習用バトルマシーン、『デウスエクスマキナ』だ。」 リカルドのアナウンスが再開した。
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