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「フられちゃった。」
開口一番、アルフレッドに授けられた単語はそれだった。突拍子も無い台詞だが、アルフレッドは表情に出さない。
「どなたにでしょうか、会長?」
「ルーイ…ラウル君にだよ、アルフレッド。」
「スティンガー様からの報告が来ましたか?」
「その通り。」
レイルのプライベートルーム。両ノ手が会議で使うパブリックルームに隣接する形で作られた部屋だ。
二十畳はある部屋にあるのは二つのソファーにローテーブル、パソコンが置かれたデスク。それだけだった。事務処理や休憩に必要な道具以外何も無い。広さが相まってどことなく殺伐とした雰囲気が漂う。レイルの華々しい私生活の陰にしては随分と物寂しい造りだった。そこだけが、空洞となっているように。
「自信あったんだけどね。ラウル君、中々誠実で真面目だよ。あんだけコンプレックス抱えていたのに、もう克服しつつある。」
「いずれは生徒会に入るのでしょう?」
「ファーストインプレッションが悪いからなぁ。一年後まで伸びそうだ、此処が空いた時。」
ヘラヘラとした手振りで、レイルは自分が占有しているデスクを指差す。
眉を顰めたが、アルフレッドは間髪入れなかった。
「あの者は元々あなたと既知の人間だったわけではありません。渡り鳥が止まり木に止まらなかっただけの事。」
「嘗て親しかった上級生の肉親なら情を感じずにいられないんだ。三年生にでもなるとね。」
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