31.彼らの呟き

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レイルはクスクスと、寂しげに笑う。 「今更ノスタルジックになってるなんて駄目だよねぇ、ホント。」 「会長には未来を見て頂かないと。」 「仰ぎ見た空なんて高が知れている。」 乾いた声で呟いた後、レイルは閃いたように指を鳴らす。 「あぁそうだ!シオ・クォールの件なんだけど。噂の真偽は?」 「彼のみ、我々が把握していない別メニューの試験を与えられていたと云う事実…。力及ばず、真実を暴き立てる事は出来ませんでした。」 声のトーンを落とすアルフレッドに対し、レイルの調子は変わらない。 「構わないよ、相手は監察員…手の内は読めても暴く事は出来ないだろうし。あくまで興味本位の調査だから、もう切って構わない。」 「しかし何故そこまで気になさるのです?その噂自体、たまたまシオ・クォールとカークス・バレンタインが一緒にいたという状況証拠で出来たゴシップに過ぎない。シオ・クォール本人も否定している筈…わざわざ御自身が手を尽くして調べる必要性があるでしょうか。」 「純粋な興味だよ、アルフレッド。前も云ったじゃない♪」 おどけた口振りにもアルフレッドは起伏を見せない。 「希望、囁かな秘密、疑問、奇妙な因縁。あなたは何れの理由で…。」 「随分と気にするんだねぇ、アルフレッド。」 レイルはアルフレッドの瞳を貫くように見やった。優しい目尻だが、油断を見せない抜け目無さが宿っている。
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