32.少年少女

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「不思議な場所…。こんな所あったんだ。」 「廃棄されたか、墜落したプラントにまだ魔法の影響が残っているんだと思う。」 「この光が?」 「魔力の粒子だと思うよ。」 「シオの魔法みたい。」 「そうだね。」 「……フッ。」 思わずシェリルは吹いた。 「何?」 「本当にシオの魔法みたいだね。」 「何でさ?」 「シオ、魔法を使う時とか、私がダメになっていた時に良く云うよね。『繋げる』って。それに、アトモスフィアには魔力共有作用があるんでしょ?」 「そうだね。」 「この秘密基地も、私を皆と繋げてくれた。」 「毎日会ってるじゃん。」 「そうだけ、ど…。」 シェリルはオレンジジュースを一口含み、飲んだ。爽やかな酸味が喉を下りる。 「なんか色々あったでしょ?心に余裕無くてさ。気付いたら、どっかに置き忘れてしまったみたい気分になったんだ。」 「俺も。最近はドタバタしてた。」 「試験が終わったら、なんか急に吹っ切れて…宙ぶらりんになったみたいに、ボーっとしちゃうの。今まで目まぐるしく色んな事があったのに、全部真っ白になってしまっちみたいなー…」 決して元気が良い訳では無いが、シェリルには幾分穏やかな面持ちをしている。一人歩きしている目線が、何を指し示しているかは判らない。
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