32.少年少女

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「今の俺が、本当の俺なのかな…?」 「さぁな。お前の本当の姿かもしれないし、新しく生まれたモノかもしれない。でも、その元は…お前が見せてくれた心の一つだ。」 「俺のモノなんて、何も無いよ。」 「生まれたんだよ。」 リクの言葉にシオは聞き入る。 「お前の手で生まれたもんが、今のお前にはあるんだ。」 リクの言葉にシオは震える。 「二年しか人生無いなんてさ、気にすんなよ。こっからなんだ、人生は。」 リクの言葉にシオは活きる。 表立って騒ぎ立てるような事はしない。それよりずっと大きな興奮が、密かに表情に浮き出ていた。 「顔、赤いぜ?」 指摘されてシオは漸く取り乱した。鼻先や耳を両手で隠すが、恨みがましい両目が隠しきれない恥ずかしさを放っている。 「なーにオトコ二人で黄昏てんの!こっちきなよー!」 エリスに呼び掛けられ、二人は輪に入った。 「試験終わったらクラブとかサークルに入れるんだよね?皆どこ行くの?」 ラウルの問い掛けにシャーロックが胸を張って答える。 「俺はベースボールやっぞ!クリケットとかフットボールでもいいけどよっ!」 「微妙~に決まってないじゃん。」 「なっ、いやっ、違うぞ、レスラーもやっからな!」 「増やしてどーすんの。」 トンチンカンな対応をするシャーロックにアレンは呆れて笑う。
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