32.少年少女

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「私は、変わった、かな…。」 「もっと自信持ちなよ、シェリル。」 「うん…ありがとう、エリス。」 「ラウルも変わったんじゃない。」 「そうかな、アレン。」 「リクは相変わらずだけど~。」 「お前もなー。」 「あたしは普通だぞ。」 「デイジーはね~。いつも元気だからね。」 「遠回しに単純なんだよなぶらっ!」 時に激しいツッコミが入りながらも、互いが思うモノを打ち明け合う。 「皆、ちゃんと自分が決まってきているんだね。」 シオが万感の想いを込めて云った。 「初めて此処に来て…どうなるかわからない未来に振り回されながら、必死に自分の立つ場所を探した。人との出会い、知らない過去、自分の悩み、色んな壁にぶつかっても、ずっとずっと手探りで…。そして今、見つけた此処から…僕らは、どこに行くんだろう…何に…なっていくんだろう。」 見上げた夜空はどこまでも高く、深かった。リク達も、瞳を夜空と向かい合わせる。白、青、赤、幾多の色の光が宵闇をバックに浮かぶ。か細く、切なげな瞬きながらも夜の漆黒を淡く照らす。黒では無い、仄かな薄明かり。闇を隠しきれない光は儚げだった。 明日はどんな天気だろう。爽やかな朝だろうか、鬱々とした曇り空だろうか、冷めた雨空だろうか。 そんな事はわからない。その変化に抗う事も出来ない。 そのままシオ達は明日へ渡る。 静かな胸騒ぎがする夜を、激しく燃え盛る夜明けを越えて、 未来の始まりが聳え立つ明日へ。 【完】
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