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「私は、変わった、かな…。」
「もっと自信持ちなよ、シェリル。」
「うん…ありがとう、エリス。」
「ラウルも変わったんじゃない。」
「そうかな、アレン。」
「リクは相変わらずだけど~。」
「お前もなー。」
「あたしは普通だぞ。」
「デイジーはね~。いつも元気だからね。」
「遠回しに単純なんだよなぶらっ!」
時に激しいツッコミが入りながらも、互いが思うモノを打ち明け合う。
「皆、ちゃんと自分が決まってきているんだね。」
シオが万感の想いを込めて云った。
「初めて此処に来て…どうなるかわからない未来に振り回されながら、必死に自分の立つ場所を探した。人との出会い、知らない過去、自分の悩み、色んな壁にぶつかっても、ずっとずっと手探りで…。そして今、見つけた此処から…僕らは、どこに行くんだろう…何に…なっていくんだろう。」
見上げた夜空はどこまでも高く、深かった。リク達も、瞳を夜空と向かい合わせる。白、青、赤、幾多の色の光が宵闇をバックに浮かぶ。か細く、切なげな瞬きながらも夜の漆黒を淡く照らす。黒では無い、仄かな薄明かり。闇を隠しきれない光は儚げだった。
明日はどんな天気だろう。爽やかな朝だろうか、鬱々とした曇り空だろうか、冷めた雨空だろうか。
そんな事はわからない。その変化に抗う事も出来ない。
そのままシオ達は明日へ渡る。
静かな胸騒ぎがする夜を、激しく燃え盛る夜明けを越えて、
未来の始まりが聳え立つ明日へ。
【完】
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