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最後に学校へ行ったのは、いつだったろうか。そんなことを一々思い出さないといけないぐらい、前のことな様に思える。
けれど、実際は土日の休みに加えて、その前の木金、更には昨日の月曜日で計五日しか休んでいない。土日はともかく、木金月は完璧なサボり。
たかが三日休んだだけじゃあ、気にする人はそれ程いないだろう。割かし仲のよいクラスメイトくらいは連絡をしれくるかもしれない。担任は僕を厄介者な扱いしているので、僕が三日休んだだけじゃあ何も言ってこないだろう。一週間も経てば、流石に電話ぐらいはあるかもしれない。あくまでも、かもしれない、だけど。
しかしそんなに休んでいると卒業出来ないので、五日ぶりの学校を訪ねることにした。
『おや、制服などに着替えてどこへ行くつもりだ?』
「制服に着替えたんだから、学校に決まってるよ」
また変わらぬ嫌味を言ってくる彼女。無視しようかと思ったけれど、そうすると余計に騒ぎだす。その相手をするのもまた面倒なので、いつも通り答えておく。
そのつもりだった。
けど彼女は僕の内心を悟ったらしく、いつもよりしつこく嫌味を続けてきた。
『ほうほう、私はてっきり売りにでも行くのかと思ったぞ』「うるさいな、そんなことする訳ないだろ。第一、この制服を売ったら僕は何を着て帰ればいいのさ」
『裸で帰れば良いではないか。ああ、まだ下着があったか』
そこまで言うと、彼女はニヤニヤとした笑いから、一気に大笑いをしだした。僕にとっては喧しいことこの上ない声だ。
そして笑ったまま『どうせだから下着も売ってはどうだ?』などと更に余計な一言まで言い出す始末。勿論、それを言った後はまた一人で笑い始めた。
僕はもう何も言わず、鞄を手に取り部屋を出ることにした。
あの状態の彼女に何を言っても無駄だ。
彼女にしては珍しく、朝からやけにハイテンションなのが気にはなったけれど、深く考える事でもない。
閉じたドアの向こうでは、まだ笑い声が続いているようだった。
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