戻想

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ベットの中に入って、私は一人で眠る生活を一週間続けていた。もう一週間になる。一年前、つまり私が大学に入学した年から同居生活を始めて、其の前はいつも一人で寝ていたのに。今、何でこんなに切なくて寂しいんだろう。隣に有るはずの、大きい背中。柳は背が私よりも高かったから、私を包み込むみたいにして寝るのが柳の癖だった。 初めのほうこそ恥ずかしかったものの、次第に私も其の癖に慣れてしまって、むしろ其れ無しではこんなに寂しいだなんて。私も相当、嵌っている。 柳を知ったのは、高校受験のときに通っていた塾だった。第一印象は最悪。其の塾の中で唯一白衣を着ていて、眼鏡をしていて長身。典型的なオタクみたいな格好だった。顔はそこそこだと思ったけど、此の人が担当だと主任の先生に言われたとき、げ、って思ったの、今でも覚えてる。 でも――私は好きになった。いけない恋と知りながら、教師であるあいつを。 「柳……、」
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