an amorous letter*

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ジリジリと太陽の日差しが肌に焼き付く夏。 私は、とても不思議な体験をする。 いつも何事にも動じない。驚いた顔、悲しい顔、笑った顔すら見たことない人もいるんじゃないか。 それくらい表情が乏しい、いわゆる、ポーカーフェイスな私。 学校には、〝鈴木かな〟と名簿には書いてあるけれどほとんど姿を見せないせいか、クラスメートの記憶のなかで希薄化されている。担任でさえ顔が思い出せないんじゃないか、そんな生活をしてきたのだ。 〝学校は行く意味が分からない。〟 だからいつも私は近所の図書館へ入り浸る。 親は最初こそ「行きなさい!」と注意をしたものの、今となっては諦めたのか、なんにも言わなくなった。 〝図書館で勉強すること〟 それが私と親との約束。 きっと、家にいても娯楽で過ごしてしまう私を予想してのことだろう。 別に涼しいからいいけどさ。
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