千夏と裂羅

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 土曜日、あたしは一人で鷹崎駅へ行った。改札から少し離れたところに3人の人だかりがいる。あたしは小走りで彼女達のところへ向かった。彼女達の中の一人があたしに言った。 「おー、待ってたよ、裂羅ちゃん」 「ごめんね、待たせちゃって。化粧に時間かかっちゃって…」 あたしは息を切らしながら言い訳した。  あたしの名前は千夏だけど、今ここにいるあたしは千夏ではなくて裂羅なのだ。改札前に固まっていたのは、あたしのバンギャ仲間。そう、あたしはバンギャであり、裂羅はあたしのライブネームなのだ。
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