日差しと図書室

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 そして今日も、放課後に図書室に集まって新聞部は活動をしているわけだ。  昨日は活動時間が短かった為、作業も中途半端にしか進まなかった。だから俺は、昨日と同じくノートサイズの紙に記事のレイアウトを模作している最中だ。  実際の編集作業はパソコン(学校からの使用許可が下りたのだ)を使って行うわけだけれど、その大元は、紙に定規を使い線を引っ張って記事ごとの枠を作る地道な作業。記事の内容はともかくとして、掲載の配分を考えるのも、なかなかに大変だったりする。  ちなみに、新聞の内容は見出しになる記事が一つとその他の記事が二つ。それにフリースペースと、簡単に割り振り出来るものだ。 「先輩、そっちはどうですか? 記事の内容、決まりました?」  線の引きすぎで少々疲れた左手をプラプラさせながら、シャーペンを走らせている向かいの先輩に現状を訊ねる。先輩は、昨日から新聞に載せるそもそもの記事を考えていた。 「うん、大体は決まったかな。今詳細を纏めてるから、レイは作業を続けといてよ」 「了解っす」  俺が返事をすると、先輩ははにかむように笑う。上げた顔を再び原稿用紙に向け、サラサラとシャーペンを動かし始めた。  先輩に倣うように自分の紙に目を落とすと、下手なりになんとか様にはなっていた。  少し息を吸って、俺はまた、右手に定規を構えた。
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