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「草木も眠る…ホニャララ
なんて、今の若者は言わないかなぁ?」
チラホラと点在する街灯の光が、ウィンドウを流れては消えていく
くねくねと曲がりくねった車道から見える辺りの景色
うっそうとした木々の合間合間にはるか遠くまで続く山の稜線が浮かんでいる
慣れない峠道の運転に
意識を集中させたまま、
助手席でふんぞり返る男に僕は答える
「丑三つ時ってやつですよね」
「おっ、さすがは我が探偵社希望の若きエース!」
わざとらしく言いながら
ニッと笑みを浮かべる
この男の名は
巽 修二(たつみしゅうじ)
僕の雇い主であり
巽探偵社代表、つまり社長である
(社長か所長かよくわかんないけど、まぁ要するにボスなわけで…)
本人は肩書きや細かいことに執着しない
それはこっちも気楽でいいのだが…
フリーターでフラフラしていた僕は、ある人の紹介でこの人の元に入ったばかりで、今回のドライブ?が初めての仕事らしい仕事、なんだけど…
いまいちこの人は何を考えているのかつかみづらいと言うか、絡みづらいと言うのか…
そもそも、何で僕はこんな山道を真夜中にドライブするはめになったのかさえ、サッパリわかっていなかったのだ
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