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ジメッとした空気がまとわりつく感じ
梅雨明けしたようなしないような
中途半端な天気が続いていた
山の天気は変わりやすい
なんて言うから、一雨来るかもなぁ
ただでさえ僕は
車の運転は苦手なのに…
町中ならともかく
ヘッドライトとわずかな街灯の
明かりだけを頼りに
こんな山道を走るのは緊張する
「ね、巽さん、どこ向かってるんです?もし、雨とか降ってきたら僕は怖くて運転出来ないかもしれませんよ?」
となりでうつらうつら
(って、寝てんのかおい!)
している巽さんに声をかける
「むぇ?えっと…」
…ヤロウ完全に寝かかってたな…
「あぁ、もうすぐ着くよ。にしても君は安全運転だね。オレにゃ無理だわ、血が騒ぐから」
頭をボリボリ掻きながら
また突っ込みたくなることをボソッと言う…
「ん、もう見えてくるよ」
そう言われて目を凝らすと
大きな弧を描く道の先に
山をくりぬいて造られたトンネルらしきものが見えてきた
「えっ?目的地はこのトンネルの先ですか?」
言いながらブレーキを踏み
スピードを落とす
「うんうん、というよりこのトンネルなんだけどね」
?
よく意味がわからないまま
深淵の闇に続くかのようなトンネルの中へ吸い込まれていった…
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