1.眠り姫と小姓

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「情けない!爺めは情けのう御座います~!」 床の上に突っ伏して、大判の白いハンカチで顔を覆い……白雪の腰にぶら下がるように嘆く執事の長谷川さん。 「いけね。タブーの地雷踏んじゃったよ。」 ウンザリしながら、ミドルグレーの執事の頭を撫でて宥めるハメに……。 「あれは、白雪家先祖伝来の家宝。 あれを持つは、白雪家当主の証し!それをまあ……売っ払え……? 亡き旦那様も草場の陰で、泣いておられますぞ!」  白雪にぶら下がったまま、説教する事一時間……話は段々と先代白雪の父親の自慢話となっていく。 「……利発で……気配り上手で……可愛くて……。 わたくしだけの一輪の花……。 ああ~!旦那様~~」 つ……つかれた……。 「親父。なにしてんの?」 助けに船が入った。ホッと胸をなで下ろした白雪だった。
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