1.眠り姫と小姓

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 広い体育館の中。観客はシンと静まり、竹刀のぶつかり合う音と気合いを入れて踏み込む剣士の声だけが其処に響いていた。 『一本~!』 白い旗が上がり。ふたりの剣士は、姿勢良くお辞儀をして味方の陣地へと戻った。 面を外し、仲間の間に行儀良く座る。 「良く我慢したな!あと一息」 闘い終えた少年剣士の背中を、先輩剣士が大きな手でポンと叩いた。 「ふにゃ~」 「『ふにゃ』って……?大丈夫か、白雪?」 姿勢を正したまま……瞼はトロトロと、青いキラキラの瞳を半分程隠した。 「頑張ります……ふにゃ~」 竹刀がぶつかり合う音が、子守歌に聞こえる……。
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