1.眠り姫と小姓

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「男に『姫』なんてあだ名……。」 『情けない』と言いたいところだが……逸れを口に出すのはタブーだった。  心配する兄貴を部屋から追い出して、ピシャリと障子を閉める。 「兄貴が母さんの方にいかずに、大人しく家を継いでてくれれば……。 しかも、ダメ出しに医者なんかになっちゃって……。 だから、僕が……白雪家の当主だなんて厄介なこと……。」 ブツブツと文句を言い、今まで父親の部屋だっただだっ広い洋間続きの和室をぐるりと見渡した。
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