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白雪財閥の当主である父親が亡くなり半年経った。
やっと、闘病生活から解放されたと思ったのに……。
やっと、普通の学生として普通の生活がおくれると思ったのに……。
床の間にドンと置かれた日本刀をグッと睨みつける。
『とぉ~のぉ~♪♪♪』
…………!…………
床の間の壁から、スーッと半透明な白い腕が伸びてきた!
白雪は眉の端をピクリと上げて、更に刀の後ろにある壁に全神経を集中する。
『殿~♪マイ・ラ~ブ♪』
普通の人間には、白い煙からぬっとはえる透明な腕にしか見えないが……。
「誰が『殿』じゃ~!」
白い煙は徐々に人の姿を形どり……白い腕は実体となって、白雪の首に絡みついた。
『殿は、お嫌?
……それでは……
姫~♪~♪~♪
マ~イ♪ラ~ブ♪』
飛び掛かってくるお小姓姿の黒髪の少年の鳩尾を、ボスっと蹴り込み……反動を付けて障子へと投げ飛ばした!
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