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小姓姿の少年はヒラヒラと紙のように宙を飛び、障子に当たって煙のようにパフンと散った。
「ハァハァハァ……」
息があがる。
「殿。夜伽が必要とあらば、是非ともこの月丸めに……。」
少年にしては、少しだけ大人びてきた整った顔を真正面に持ってきた。
「……(怒)」
声を出さずに、キッ!と小姓を睨み付けると、小姓はポッと頬を染めて目をそらした。
『そのきれいな青いお目々で見つめないで……ポッ』
「……」
ハァ……っとため息をついて、すっくと立ち上がる。
「殿~♪カモン♪殿~……トノ?……」
座敷にひかれた布団の上に腕だけ出して、おいでおいでをしている小姓を放って……白雪は開けた障子をパチンと閉めて出て行った。
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