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「……子、神子…!」
自分を呼ぶ声に、望美は瞼を開いた。
「…せん…せ……」
涙で揺らぐ視界の中に、呼び続けた人がいた。
優しくて大きな手のひらが望美の髪を撫で、指先が涙を拭う。
「…うなされていた…。涙を流す程、恐ろしい夢を見たのか…?」
望美が眠るベッドの脇で、リズヴァーンは心配そうな瞳を望美に向ける。
その青の瞳は、心から心配している事を望美に伝えていた。
望美は控えめに、ただ頷いた。
「…神子……」
リズヴァーンが望美の手をそっと握る。
そこでようやく、自分が震えていた事に気付いた。
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