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なおみ
「…あ、あのー…」
純二
「どうした?」
なおみ
「い、いえ…」
純二
「気分はどう?」
なおみ
「うん、まぁまぁ」
純二
「顔が赤いぞ。熱でも出てきたか?」
純二は、なおみの額に自分の額を当てて熱を計った。なおみの心臓は、ドキドキと今にも張り裂けそうな音を立てていた。
なおみ
「た、竹本さん、違うの。竹本さんが私の恋人だったって聞いて、緊張しちゃって…」
純二
「なんだ、そうだったのか。そんなの気にしなくていいよ。孝行と同じような感覚で」
なおみ
「え?」
純二
「今は記憶をなくしてるんだから、突然知らない男と恋人同士にされたんじゃ、緊張するのも無理ないよな」
なおみ
「…そんなこと…ないよ」
純二
「ありがとう。じゃ、これから毎日きてもいい?」
なおみ
「…うん」
なおみは照れながら返事した。その日から純二は、毎日病院に足を運び、なおみを慰めた。2人の仲も、いつしか恋人同士のように、仲よくなっていった。
そして1週間後。なおみは無事退院した。手伝いに英雄と純二が来ていた。良子は自宅でなおみを迎え入れる準備をしていた。
英雄
「竹本くん、すまないな、手伝わせて」
純二
「いえ、俺はなおみさんの役に立ちに来たんですから」
なおみ
「本当?嬉しい。ありがとう」
英雄
「なおみ、竹本くんのこと、思い出したのか?」
なおみ
「…思い出してない」
英雄
「しかし、今嬉しいって…」
なおみ
「だって…、私なんかの役に立ちに来たって、嬉しいもん。それに、竹本さんがそばにいてくれると、なんだか安心するの。ホッとするっていうか、ずっと側にいたいって思うの」
英雄
「なおみ…。そうか、わかった。竹本くん、頼みがある」
純二
「何でしょう」
英雄
「こっちにいる間、なおみと一緒に過ごしてくれんか。もしかしたら記憶が戻るかもしれん。なおみと一緒に行った場所とか、また連れてってやってくれ。経費は私が出すから」
純二
「いいんですか?」
英雄
「頼む」
純二
「わかりました」
なおみは記憶が戻るまで、学校を休むことになった。
次の日、純二はなおみの記憶を取り戻すために、なおみと一緒に思い出の場所へ出掛けた。
純二
「おはようございます」
良子
「はい、ちょっと待ってね。なおみー、竹本さんよ」
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