夕陽の中で 第3章

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なおみ 「…あ、あのー…」 純二 「どうした?」 なおみ 「い、いえ…」 純二 「気分はどう?」 なおみ 「うん、まぁまぁ」 純二 「顔が赤いぞ。熱でも出てきたか?」 純二は、なおみの額に自分の額を当てて熱を計った。なおみの心臓は、ドキドキと今にも張り裂けそうな音を立てていた。 なおみ 「た、竹本さん、違うの。竹本さんが私の恋人だったって聞いて、緊張しちゃって…」 純二 「なんだ、そうだったのか。そんなの気にしなくていいよ。孝行と同じような感覚で」 なおみ 「え?」 純二 「今は記憶をなくしてるんだから、突然知らない男と恋人同士にされたんじゃ、緊張するのも無理ないよな」 なおみ 「…そんなこと…ないよ」 純二 「ありがとう。じゃ、これから毎日きてもいい?」 なおみ 「…うん」 なおみは照れながら返事した。その日から純二は、毎日病院に足を運び、なおみを慰めた。2人の仲も、いつしか恋人同士のように、仲よくなっていった。 そして1週間後。なおみは無事退院した。手伝いに英雄と純二が来ていた。良子は自宅でなおみを迎え入れる準備をしていた。 英雄 「竹本くん、すまないな、手伝わせて」 純二 「いえ、俺はなおみさんの役に立ちに来たんですから」 なおみ 「本当?嬉しい。ありがとう」 英雄 「なおみ、竹本くんのこと、思い出したのか?」 なおみ 「…思い出してない」 英雄 「しかし、今嬉しいって…」 なおみ 「だって…、私なんかの役に立ちに来たって、嬉しいもん。それに、竹本さんがそばにいてくれると、なんだか安心するの。ホッとするっていうか、ずっと側にいたいって思うの」 英雄 「なおみ…。そうか、わかった。竹本くん、頼みがある」 純二 「何でしょう」 英雄 「こっちにいる間、なおみと一緒に過ごしてくれんか。もしかしたら記憶が戻るかもしれん。なおみと一緒に行った場所とか、また連れてってやってくれ。経費は私が出すから」 純二 「いいんですか?」 英雄 「頼む」 純二 「わかりました」 なおみは記憶が戻るまで、学校を休むことになった。 次の日、純二はなおみの記憶を取り戻すために、なおみと一緒に思い出の場所へ出掛けた。 純二 「おはようございます」 良子 「はい、ちょっと待ってね。なおみー、竹本さんよ」
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