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君が叫んでいる。メギドの丘で………。
黄泉の国から現世に戻るための道、光司郎は百の後を追っていた。
「あのさ、百ちゃん。」
なんとなく声をかけた。
「ん?どうしたの光司さん?」
「その………。君のその耳を見て思ったんだけど………。君ってやっぱり、狐の妖怪なの?」
なにか失礼な気がしたのか、もじもじする光司郎。
「いや、これはおとりだすけ。」
「おとり………?」
「わたしたちは、北を守護するおとっちゃん、毘沙門天と同じ鬼の家系だけど、どういうわけか、日本の関東甲信越まで勢力を延ばしたんて、妖怪にもいろいろあって、鬼は嫌われてるんて、これはうちのおとっちゃんが、強い力あるからだけじゃない。」
悲しそうな顔で言う百。
「………。」
「鬼はね、元々禁忌を犯した人間なんだて、だから、人間を嫌ってる妖怪は、わたしたちも嫌いなんだこて。それで、迫害を受けないために、狐のフリをしてたんよ。」
百はだいたいこんなことを言った。
「でも、光司さんが一緒なら、上手くやれる気がするわ。」
「わかった。僕、頑張るよ!」
「さて、そろそろ行こうか。」
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