君が叫んでいる。メギドの丘で………。

12/13
前へ
/126ページ
次へ
 老人と少年が叫び、手を合わせた次の瞬間、二人の影は重なり、ひとつとなった。  そこには、とても巨大な蝿にしか見えない怪物がいた。 「すごく………でけぇど」 「わたしこそ、この世の総てを食らいつくす魔王、ベルゼブブ、さあ!かかってくるがいい!!」  ベルゼブブは巨大な口を開け、光司郎に迫ってきた………。 「びゃああああああ!」  逃げ惑う光司郎と百、しかし、執拗に追いかけてくるベルゼブブに、逃げ場はない。 「ええい!やってやらぁ!」  変身した光司郎は、ベルゼブブに飛びかかる。しかし、ベルゼブブの骨殻は硬く、爪を立てることができない。背骨を引き抜く隙をも与えられない状態だった。 「なんだ、旧型とはいえ、ヴィシュヌの科学力を結集した改造人間もこの程度か………?」  興味をなくしたベルゼブブは、光司郎を投げ飛ばし、床に叩きつけ、巨大な足で踏み潰そうとした。  その時、百の中の何かが目覚めた。 「うちね旦那ァ手ェ出したら、許さねよ!?」  突然、百の周りに黒い影が現れ、その中からたくさんの細い手が出てきた。やがてそれは這い上がってきて、たくさんの鬼であったことがわかった。 「なんだ、それは………!」  あまりに突然起きた出鱈目な出来事に、戸惑っているベルゼブブ。 「旦那を殺したら、お嫁さんとして失格じゃ!大和撫子の名折れだすけ!」 「百ちゃん……!」 「おめさんみたいなワケわからない理由で人を操り、道具として扱う。そんなやつに負けるほど、わたしらの魂は安っぽくねがね!魂と書いて!男気と読め!」 「男気か、なら、僕も男を見せようか!」
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加