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それはいきなり訪れた。光司郎の家に届いた一通の手紙から………。
「ん?どっからだろ?」
光司郎は封筒を見た。
そこには、かなり綺麗な字で、百、と書いてあり、その下に小さく、そして殴り書きで、それから甲斐性なしへ、と書いてあった。
「百ちゃん、手紙来てるよ。」
「えっ?誰から………?」
「たぶんお父さんだよ。」
それを聞いた百は、なぜか赤面している。
「光司さん、お義父さんって………♥」
「いやいや、そういう意味じゃなくて………。顔も赤くしないでよ。嬉しいけど………。」
「へ?」
「いや、なんでもない。それで、なんだって?」
それから、百は手紙を読み上げた。
百へ、人間どもの様子はどうですか?年頃のお前を家に置いていても仕方ないと思うので、明日から杏楽高校という高校への転校手続きをしておきました。これから使いの者をよこしますので、そいつから学校で必要なものを受け取ってください。
それから、甲斐性なしへ、死ね、消えろ、お前なんかいらない。ただし、高校で百に変な虫がつかんようにしとけ、その中には当然だがおまえも含まれている。以上、毘沙門天
手紙の内容は、だいたいこんなものだった。
「…。」
言葉のでない光司郎。
「大丈夫?光司さん?」
「ああ、目の前に川が見える。その先にお花畑が………。」
「え?光司さん三途の川が見えるんかぇ?すごい、わたしはトイレみたいなところでしか使えない黄泉の国と繋ぐ術を使えるなんて………!」
なぜか一人で盛り上がる百。
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