最強男

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 翌日、学校に行った。 ごく一般的な学校で、百は二年生に転入することとなっている。光司郎は19歳にも関わらず、なぜか二年生に転入することに………。 「あァ、どこのクラスだっけ?」 「確か、Dクラスだったと思ったね、行くがー」  二人は、手を繋いで駆けていった。 「突然ですが、転校生を二人も紹介します。」 「はじめまして、神情光司郎です。」 「闇堂………。いえ、神情百です。」  この一言が、災難の始まりだった。 「し、神情!?」 「二人とも同じ苗字?」 「ま、まさか………。」  ざわめき出す生徒たち。 「はて?わたしなんかマズイコとしたかぇ?」「コラァー!!」  大声で叫ぶ光司郎。 「わ、光司さんどうしたね?」 「あのね、僕たちが夫婦ってバレたらどうすんの!?妖怪のことまで説明したらお互いに迷惑かけるよ!?」 「あ、そっか、言わねばよかった。」 「あのー、おふたがた?」  二人の会話はもれていないようだ。 「おめさんたち、難解な名前だけど、どんな字書くの?」  いきなり担任が振ってきた。 「あ、僕は、神の心(情)を知り、光を司る男(郎)です。」  端から見ればかなり恥ずかしいことを言っている。 「はぁ、では百さんは?」 「はい!」  普段ののほほんとした顔が、突然真剣な趣になった。 「神の心(情)を持ち、百の理を司る女です!」  このひとことに、光司郎は凍りついてしまった………。 (なんで僕よりも派手に名乗ってんだろ?)  口から出そうな言葉を、百を泣かせたくないという最後の良心で堪えた。 「お二人はどういったご関係で………?」  光司郎も百もドキッとした。 (空気読め先生!) 「はい。わたしが光司さんの名前のカッコよさに、勝手に光司さんと同じ苗字を名乗ってるだけです。」  百が勝手に話を進めた。 「百ちゃん、Nice!」 「ううん。気にしないで、」  光司郎は、彼女が自分の奥さんでよかったと、今、心の底から思った。
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