11人が本棚に入れています
本棚に追加
一限目、ホームルーム
「はい。皆さん転校生のお二人に、自己紹介してください。」
その後、出席番号順に自己紹介していった。
「これから、僕の命が取られませんように………。」
ただただ祈り続ける光司郎。
しかし、次の言葉でこの願いは打ち砕かれる。
「三島輝です。いやー、この間のお祭りで、神情くんと百さんがいっしょに歩いてたの見たときは、ビックリしたよ!」
その直後、クラス全員の殺意のこもった視線が、光司郎に向けられた。
「………。」
(なんなんだこれ!僕は何をした!?ていうか、なんで輝がここに!?)
そんな疑問を抱いていた光司郎は、放課後、屋上に呼び出され、リンチにあった。
橋の上に、一人の男が立っていた。顔には生気が宿っていない。
「百ちゃん。僕はどうすればいいの?こんなことで君の旦那さんを名乗れるの?」
今、彼の目には、夕陽に百の影が重なって映っている。
「………百ちゃん。僕に微笑んでくれるんだ………。今いくよ。」
彼が崖っぷちに居ることは、言うまでもない。
「大丈夫かい?」
何処からか、天摩皇がやってきた。
「あんたか、こういうとこ、来れないんじゃなかったの?」
「あまりにも君が大変そうだから、身体の負担を承知で来たんだよ。しかし、あんたこんなんでいいのかい?」
この一言に、光司郎はカチンと来た。
「良いわけねぇだろ!?こんな滅茶苦茶な生活!」「そうじゃない。あの娘の親父さんは、こうなるのを狙ってる。それに屈服するということは、あの人に『彼女を想う気持ち』で負けたことになるぞ?」
「百ちゃんを、想う気持ち………。」
光司郎の顔から、みるみる生気が溢れてきた。
「そうだな、僕もっと頑張るよ!ありがとう天摩皇!」
光司郎は駆けていった。
「人間って、面白いなぁ………。」
最初のコメントを投稿しよう!