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この日の五限目は体育だった。教師はもちろん夜叉で、授業終了後、男女別々に着替えていた。
「今日のところは、問題ないか………。」
「ん?どしたね?」
いつの間にか霧山が話しかけてきた。
「いや、なんでもない。」
「おいおい、ちょっと来いよ。」
霧山が光司郎を部屋の外に連れ出した。廊下の行き止まりにつくと、右には窓、左には一つの部屋があった。
「どこよここ?」
「うぇ?お前なぁ、男なら調べとくだろ?ここは、女子更衣室の前だよ。」
「!!」
次の瞬間、光司郎はおそらくこれまでの人生で最も強い左フックを霧山にお見舞いしていた。この男、年頃なのだが、一般常識から外れた行動は極力控えているのだ。たまに噛み合わない会話をすることはあるのだが………。
「なんだよ?普通ここは乗るべきだろ!?」「百ちゃんが着替えてる部屋を覗けるかボケェエエエエエエエ!!」
「なんだ煩いなぁ。ん?神情光司郎!貴様、まさか百様を覗こうと……!」
運悪くそこには夜叉が立っていた。とても強い悪意を持ち、今にも光司郎を殺そうとするのが見えている。
「いや、違います。これは、霧山が………。」
光司郎は隣を指差した。しかし、そこに霧山の姿はなく、かわりに手紙があった。
「神情くんへ、用事があるので帰ります。さよなら」
「ふざけんなぁああああああああああああ!」
「さてと、では、罰として………。その命、神に返しなさい!」
夜叉は刀を出して襲いかかってきた。
(くそ、どうする……!廊下は行き止まり、鬼に改造人間の力は皆無に等しい。窓から降りれば落ちて死ぬ、くそっ、ごめん百ちゃん。)
光司郎は更衣室に飛び込んでいった。ある一言を叫んで………。
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