二人はお年頃

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 光司郎は、購入した漫画を持ち、自宅への帰り道を足取り軽く歩いていく。  漫画を買ったこともそうだが、帰れば美しい妻が待っているのだから………。 「……!?」  ふと、家の前にある何かに目が向いた。全体的に白く、青みがかったものが先端にある。光司郎がそれを人型と認識するのに、そう時間はかからなかった。  問題は、その人型が、家の前に倒れていることである。  普通なら面倒に巻き込まれたくないと思い、警察なり救急車なりを呼んで任せてしまうだろう。しかし、彼は変わり者だ。なぜかその人型の頭をつかみ、引きずって家の中へ運んだ。 「百ちゃーん!大変だ!」 「どうしたね光司さ………ん!?」  彼がつれていたのは、少女だった。 「こ………。光司さん………。わたしというものがありながらそんな小さい女の子に手を出して………。」 「ち、ちがうんだ!この子はうちの前で倒れてて、今連れてきたばかりで………。」 「あぁ~!わたしも光司さんの好みに近づきたい~!」  なにやら勝手に暴走している百。 「光司さん………。わたしどうしたらいいの?」  潤んだ瞳を見せる百。 「なにもしねでいいよ。僕はそのままの君を受け入れる。愛という字は、心を受け取ると書くから………。」  さりげなく格好いい台詞を言い、優しく百の手を握る光司郎。 「ところで、この子はだれだろか?」 「むにゃ………。もっといっぱいたべるよぉ………。」  中途半端な寝言を言う少女。 「おい、大丈夫か………?って君は……!」 「あ……!」  起きた少女はいきなり光司郎に抱きついてきた。 「ち、ちょっと!光司さんこの子誰?」  慌てながら言う百。 「ああ、さっき本屋で会ったーーー」「あ、おまえは!」  なにか男性には理解できない空間が広がった。
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