11人が本棚に入れています
本棚に追加
「百ちゃん、知り合い?」
「あ、思い出した。わたしの中にいた子だねっか!」
懐かしい友達に再会したようにハイテンションになる百だが、光司郎には何がなんだか分からない。
「それは俺が説明しよう。」
またしてもいつの間にか天摩皇が現れた。
「彼女はメーラ・アラストル、訳あって俺が預かってる女の子だ。」
「はぁ、で、百ちゃんの中にいたってのは………?」
「悪魔は、人間の負の心が精神を離れたもの。姿は、宿主のイメージを受け継ぐ。メーラは、百の精神世界(インナースペース)から抜け落ちた悪魔なんだ。」
「さっき人間から生まれるって言ったような………。」
「君の言うのはヒトだ。人間とは、人道の上を歩む思想と観念を持つもののことだ。」
「はぁ………。それで、なんで彼女は僕に付きまとうの?」
「ヒドイよ光司くん。永遠の盟約を忘れちゃったの?」
能天気でハイテンションな甲高い声で訊いてきたメーラ。
「永遠の盟約………。」
光司郎の脳裏に、何かが浮かんだ。
幼い少女が、泣いている。
幼い少年が、彼女に声をかける。
「どうしたの………?」
少女は答えた。
「お友達が………鎌を持って、斬りかかってきたの。絶対に悲しませないって言ったのに………。」
少年は言った。
「なら、これから、君を悲しませるやつは、僕がやっつける。僕が君を一生守る。君の心を照らす太陽になる。」
「無理だよ。永遠は存在しない。あなたはわたしより早く死んでしまう………。」
「永遠はあるよ。ここにあるよ。ずっとそばにいてあげるから………。」
二人は手を繋いだ。
「あれが永遠の盟約!?」
「そう。君が僕の永遠の太陽になる盟約。」
得意気に言うメーラ。
「あれは、百ちゃんとの約束では?」
「そう言ったくせにすぐ居なくなったから、ぼくが分離しちゃったんじゃないか!」
光司郎は、その直後ハッとした。
その約束の翌日、雨だったので、百とは遊ばなかった。それがこんな事態を招いたのかと………。
「と、いうわけだから、ぼくだけを見るように。」
最初のコメントを投稿しよう!