二人はお年頃

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「百ちゃん、知り合い?」 「あ、思い出した。わたしの中にいた子だねっか!」  懐かしい友達に再会したようにハイテンションになる百だが、光司郎には何がなんだか分からない。 「それは俺が説明しよう。」  またしてもいつの間にか天摩皇が現れた。 「彼女はメーラ・アラストル、訳あって俺が預かってる女の子だ。」 「はぁ、で、百ちゃんの中にいたってのは………?」 「悪魔は、人間の負の心が精神を離れたもの。姿は、宿主のイメージを受け継ぐ。メーラは、百の精神世界(インナースペース)から抜け落ちた悪魔なんだ。」 「さっき人間から生まれるって言ったような………。」 「君の言うのはヒトだ。人間とは、人道の上を歩む思想と観念を持つもののことだ。」 「はぁ………。それで、なんで彼女は僕に付きまとうの?」 「ヒドイよ光司くん。永遠の盟約を忘れちゃったの?」  能天気でハイテンションな甲高い声で訊いてきたメーラ。 「永遠の盟約………。」  光司郎の脳裏に、何かが浮かんだ。  幼い少女が、泣いている。  幼い少年が、彼女に声をかける。 「どうしたの………?」  少女は答えた。 「お友達が………鎌を持って、斬りかかってきたの。絶対に悲しませないって言ったのに………。」  少年は言った。 「なら、これから、君を悲しませるやつは、僕がやっつける。僕が君を一生守る。君の心を照らす太陽になる。」 「無理だよ。永遠は存在しない。あなたはわたしより早く死んでしまう………。」 「永遠はあるよ。ここにあるよ。ずっとそばにいてあげるから………。」  二人は手を繋いだ。 「あれが永遠の盟約!?」 「そう。君が僕の永遠の太陽になる盟約。」  得意気に言うメーラ。 「あれは、百ちゃんとの約束では?」 「そう言ったくせにすぐ居なくなったから、ぼくが分離しちゃったんじゃないか!」  光司郎は、その直後ハッとした。  その約束の翌日、雨だったので、百とは遊ばなかった。それがこんな事態を招いたのかと………。 「と、いうわけだから、ぼくだけを見るように。」
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