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とりあえず道なりに歩き出した天摩皇。
「それにしても………。苦しい………。この世界の人間はどんな生活してんだろ………?」
道行く天摩皇は、その容貌から、かなり人目を引いていた。多くは特撮ヒーローと勘違いされた。
「とりあえず、人の少ないところへ………。」
天摩皇は、新潟駅の辺りへやって来た。
「ん?」
ふと、その辺を見渡すと、小さな女の子が、鎌を持った男の子に教われていた。
「なんじゃあら………!?」
それを見ている一人の少年。
「こわい………。たすけて………。」
「……バイバイ、百ちゃん。」
鎌を持った少年は、鎌を降り下ろした。
「チッ!」
天摩皇は、先ほどからそれを見ているだけの少年に、自分の指をへし折り、気づかないほどのスピードで口に押し込んだ。
「上手くいくといいが………。」
指はたちまち生えてきた。指を食わされた少年の体は、鉤爪、背鰭が生えたおぞましいものとなった。
「な………。天摩皇め、まだ生きていたか……!」
鎌を持った少年は、標的を天摩皇に向けた。
「聞こえるか、ガキ。今、お前は俺の体の一部となって働いてもらう。俺の力もこの汚れた空気の中では出せないからな。今は何も考えずに、あの鎌を持ったガキを攻撃、あの娘の保護、それだけを考えることだ。」
「えっ?は、はい!!」
少年は、鎌を鉤爪で弾き飛ばし、少女を抱き抱え、天摩皇の前まで下がった。
「よし、それじゃあ、決めてやれ。」
少年は鎌を持っていた少年目掛けて突進、少年の首を掴み、全力でひねり、180度回転させ、引きちぎった。
たらたらと流れる紅い血と共に、無惨な姿の少年だったもの。
「とりあえずは安心か………。」
天摩皇がそう思ったのもつかの間だった。
少年だったものは立ち上がり、自分の首を拾い、頭に戻した。
「なんだと!?バカな、この世界で、魔術を使えるやつがいるというのか!?」
「ふふふ、また、会いましょう………。」
鎌を持っていた少年は去っていった。
「あなたは?」
「通りすがりの悪魔だ。それより、ガキ、俺は調べものをするために一度あちら側に戻るから、あとは頼んだよ。」
一瞬で消えた天摩皇。
「……なんだったんだ今のは、」
「ねぇ、君の名前はなんていうの?」
「僕?神の心を知り、光を司る男。神情光司郎だよ。」
「光司郎。じゃあ光司くんだね。あたしは百、助けてくれてありがとう。」
このとき、全ては動き出していた。
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