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《ジリリリリリリリリ.....》
「起きなさぁい!!!」
母の声と目覚まし時計の音が交差する。
千尋は、嫌々起きる。
時計は、午前11時を指していた。
「良い、今日は、実家に帰るんだから、さっさと準備しなさい」
「実家つったって、“お母さん”の実家でしょ…もう」
千尋は、愚痴をこぼす。
「ほら、早く!お父さんや真樹はもう準備出来てるわよ!」
「分かってるよぉ!」
バタバタと準備が始まった。
あ、真樹ってのは、私の双子の妹である。
名前?あぁ…お母さんが似たような名前にすると姿まで似てしまうからってこんな名前になったらしい。だから、そのお陰、真樹とは、あんま似てないのさ。
「千尋、早く!」
母は、叫ぶ。
「分かってるよ!」
千尋はドタドタと階段を降りて、玄関へと向かった。
午後12時。
部屋の目覚まし時計が鳴り始めた。
だが、その時には千尋は既に、玄関を潜った後だった。
―ガチャン。
鍵が閉まったと同時にアラームの音は、鳴り止んだ。
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