実家

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  「ほら、着いたわよ」 「!」  母の声で我に返った。  山に近いこんなど田舎に祖母と祖父は住んでいる。実家から自宅まで、車でざっと6、7時間は掛かる。  車を降り、玄関へ行くと、祖母が出迎えてくれた。 「お帰り、杏子(キョウコ)」 「ただいま、お母さん」  杏子とは、母の名前だ。  祖母は、いらっしゃいよりお帰りと言ってしまう。まぁ当本人の子供だから、良いとしよう。 「お帰り、茂信さん、千尋ちゃん、真樹ちゃん」 「ただいまです。お母さん…」 「「え、えと、ただいま、おばあちゃん」」  何か、くすぐったいものだ。  あ、茂信(シゲノブ)とは、父の事である。  やっぱり、私達にもお帰りのようだ。 「さ、もう晩い。皆さん、中へお入り」  後から来た祖父が笑顔で、出迎えた。
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