翁と翔夜

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当の翁本人は 「父様と母様はね、星になったの。星になっても二人は寄り添うのよ、そして何時か一つになって大きな星になるの。それからわたしを見守ってくれるのよ。」 なんて夢見るような目をして言った。 葬列は偶然にも夜空の下で行われ、三日月と二つの星だけ輝いていた。 「…夜、翔夜?翔夜!」 俺を呼ぶ翁の声で我に帰った。 「どうかしたの?」 「何でもないよ。それより話の続きを聞かせて。」 「ええ…あのね、それでわたし、すっかり付き合った気になっていたのよ…。」 翁はあまり人に関わらず本ばかり読んでいる。 一緒に暮らそうは幻想的な甘い本ばかり読む翁にとっては告白の言葉だったのだろう。 「ごめんなさいね。一緒に暮らそうって言ってくれただけなのに勝手に恋人にしてしまって。」 「いや、気にしないで。俺は翁が好きだからさ。」 え?と小さく呟いて翁が顔を上げた。 カチャンとスプーンが手から滑り落ちた音がした。 「俺もさ、翁が好きだよ。愛してるんだよ。」 「翔…夜…。」  
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