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「翁は?」
「わたしも翔夜のこと好きみたいなの。だから一緒に暮らすのが嬉しかったのよ。」
翁は目を潤ませて微笑みながら言った。
「今日から本当に俺たちは恋人だね。」
「そうね。」
翁は林檎飴みたいに頬を赤く染めた。
「翔夜…今日は何が食べたい?記念すべき日だから腕によりをかけて作るから…。」
「そうだな…。肉じゃがが食べたいな。」
「なら早く帰らないと、遅くなっちゃう。待ってちょうだいね、今食べるから。」
翁は頬を赤くしたまま残りのあんみつを急いで食べた。
「ごちそうさまでした。さぁ帰りましょう。」
「うん。」
お金を払い甘味処を出れば真っ赤な夕日が出ていて翁の影が長く伸びていた。
「ね。翔夜、わたし、お願いがあるの。」
「お願い?」
俺は歩みを止めて翁の方に振り向いた。
「そう、わがままかもしれないけど叶えてもらってもいいかしら?」
翁はまた林檎飴色の頬をして指をくっつけて恥ずかしそうに言った。
上目遣い気味に俺を見上げる姿は女の子のようだった。
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