【No.1】織部誠一郎

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 【No.1】織部誠一郎

【モニターを始めます】     ……体中からぶわっと汗が噴き出していた。   そして同時にどこかから派手な破壊音が聞こえ――   俺ははっとして頭を上げる。    公園から見えていた背の高い茶色のビル。   その最上階の壁が……まるでげっぷでもするように内側から簡単に破裂した。     何かがビルから落ちていくのがかすかに見えた。     理屈じゃない。本能ではっきりと悟る。   あれは……壁に叩きつけられた哀れなヤクザ。   手が震える。   さっきまで見えていた……頭を握りつぶす映像。潰れた頭の感触までリアルに手に残っていた。     じょ……冗談じゃねえ!!     【そう。冗談なんかじゃない。分かってもらえたかな?】   「ふ……ふざけるな!!なんなんだコレ!!なんなんだよっ!!!」   【実験さ。その意図は僕にもよく分からないけどね。 けれどもう始まってしまった】   「全然意味が分かんねえ!!一体ここはどこなんだよ!?」   【落ち着けよ。この街の名前くらいなら答えられるさ。でも今、必要な情報はそれじゃない。そうだろう?】     ぐ……と俺はうめいた。   くそ、一体何がどうなっているんだ!  
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