‡序章‡

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 入口付近の燭台にある、2本の蝋燭だけが、この部屋を照らす明かりの全てだった。  そのため、暗いのも当然だったのだ。  ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎は、時に、動かないはずのものを、動いているように錯覚させた。  寝台の上に乗せられている、我が子も・・・・・・。  揺らめく光の加減で、動かないはずの我が子が動いたかのように見え、一瞬、ハッとし、またすぐに、それが失望に変わるのだ。
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