疫病神と呼ばないで

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  「うちの鑑識が来るそうです」 「何だ、結局うちかよ」 警官達が話をする中、美郷は小太郎に耳打ちをした。 「…早く帰ろうよ」 「そうだな。お巡りさん、もういいのかい?」 「あぁ、群馬の連中に案内するよう頼んでみよう。俺達は動けないんでな」 「よろしく頼みますわ」 パトカーを降り、車へと戻る小太郎と美郷。 慰霊碑を見つめる美郷に、小太郎が気付いた。 「気にしてんのか?」 「そんなんじゃないけど…」 「ただの迷信だって。あんな話はどこにでもある」 そうは言ったものの、小太郎も慰霊碑の持つ不気味さに息を飲んだ。 「さっさと帰ろうぜ。長居は無用だ」 二人は車に乗り込んだ。 パトカーが横に並んでくる。 群馬県警のパトカーだ。 「国道まで案内します。ついてきてください」 「助かります」 美郷が頭を下げた。 エンジンをかけ、ヘッドライトを付ける。 闇の中にヘッドライトに照らされた茂みが浮かび上がった。 「お兄ちゃん!?」 「あ? 何だぁ?」 「今、茂みの中に何かいた…」 「動物か何かだろ。ビビらせんなって」
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