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「…いくら何でもおかしいな」
後続のパトカーからも警官が降りてきた。
小太郎も再び車を降り、パトカーへと近付く。
外されたタイヤとスペアのタイヤが、放置されたまま地面に転がっていた。
警官の姿は見当たらない。
「…?」
パトカーの下を覗き込んでみるも、警官はいなかった。
「あいつ…どこ行った?」
同僚らしき警官も周囲を探している。
ふと、小太郎はパンクしたタイヤが気になった。
タイヤの側面に大きな裂け目がある。
破裂したにしては断面が綺麗だ。
鋭利な刃物で切り裂かれたように思える。
「トイレにでも行ったんでしょうか?」
小太郎に警官が近付く。
小太郎は、そんな警官に適当に返事をして周囲を見渡した。
タイヤを切り裂くような鉄片やガラスは見当たらない。
「ちょっと聞いていい?」
小太郎が警官に尋ねる。
「あのさ…発見された死体って…どんなの?」
「いや、そういうことに答えるわけには…」
「凶器は刃物でしょ?」
「な、何でそれを!?」
「分かりやすっ!」
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