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東北にある、親戚の家に行った帰り道だった。
連休中の高速道路で起こった玉突き事故は渋滞を生み、小太郎達も例外ではなく、巻き込まれた。
迂回する為に一般道に降りたのが失敗の始まりで、散々迷った揚句、現在に至るわけである。
ここまでに、二人の間で共通の認識が生まれた。
『やっぱりカーナビは必要だ』
『あると便利』ぐらいの認識しかなかったカーナビが、ここにきて一気にその商品価値を上げた。
「絶対買おうな」
「うん、買ってね」
「…俺かよ」
そんな会話をしたのだが、それが初めてではないことは、本人達も気付いていなかった。
「こんな場所じゃコンビニもないだろうね」
「そうだな…おっと携帯も圏外だぞ。人跡未踏の地か、ここは?」
「でも、車が通った形跡があるよ。どこかに通じてるんじゃないかな?」
「どうだろうな。何にしても、日が暮れる前に抜け出したいもんだ」
日は既に傾き、西の空を紅く染めていた。
あと一時間もすれば、日も沈むだろう。
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