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やっとの思いでソファー席に座る事が出来た二人は、腰を下ろした途端に一緒になって大きな溜息をついてしまい、顔を見合わせて大声で笑った。
「はは、今日はだいぶ歩いたからねぇ」
男は屈託のない笑顔を見せてそう言った。
「ええ、でも・・可笑しいわ」
女は笑いを堪えながら応える。
夕暮れ時。
日が沈みきる間際の窓から見える風景は、地平線を夕焼けに紅く染め上げ、西日が二人を優しく照らし出していた。
「それにしても素晴らしい風景ねぇ、よくいらっしゃるんですか?」
女は風景を眺めながら、話を切り替えし、タバコに火をつけている男にそう言って尋ねた。
「ええ、まぁ、仕事絡みが多いですよ」
男は当たり障りなく答える。
「本当に?私にはそうは見えないんですけどっ」
女は皮肉たっぷりの口調で笑顔をつくり、男を冷やかした。
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