時の過ぎゆくままに

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「はは・・参ったな」 男ははにかんだ笑顔を少し見せると、ごまかす様に出されたメニューを手に取り、パラパラとめくり始めた。 「ふふ、困ってる困ってる」 女は両肘をテーブルにつけて頬杖をつき、微笑みながら男をからかった。 「はは、もう勘弁してよ、ところで何を飲む?」 男は困り果てた様子で苦笑を見せると、メニューを女に手渡し、注文を促した。 「ああ、そうね、どうしようかしら」 女は手渡されたメニューを手に取り考える。 「何か好みの酒はあるの?」 男は気遣うようにして女に尋ねた。 「私・・シャンパンが好きなの」 「ああ、そうなの、じゃあ、グラスシャンパンでも貰おうか?」 「んん・・」 女は首を少し傾げている。 腑に落ちない様子だ。 「はは、違うみたいだね、ボトルでもらう?」 「いえ、そういう事じゃなくて・・折角だから何か変わったものにしようかな」 「・・変わったものねぇ・・」 男は腕組みをして考え込んだ。
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