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「はは、そうだね、仕方ないね、それより冷えているうちに頂こうか」
男は話を切り替えして、花模様のエッチングが施されたソーサー型シャンパングラスの華奢な脚をつまみ上げ、女に向けた。
「そうね、頂きましょう、じゃあ、何に乾杯?」
女は同じ様にしてグラスをつまみ、男に問いかけた。
「君の瞳に・・・」
男が笑いを堪えながら、冗談混じりにそう言うと、
「ぷ・・・」
女は肩を震わせながら声を出さずに笑い、堪らず吹き出した。
「はは、うそうそ、新しい出会いにって事でどう?」
「そうね、じゃあ、新しい出会いに」
二人は笑いも止まぬまま話をまとめると、グラスを少し上げ、そのまま気味よく傾けた。
シャンパンの炭酸が心地よく唇と舌を刺激する、酸味の中に仄かに感じる角砂糖の甘みと、ビターズのほろ苦さ。
レモンピールの香りがシャンパンの香りと相俟って、ノーブルな芳香に仕上がり、飲み手側の心をくすぐる。
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