時の過ぎゆくままに

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少し込み合ってきているラウンジ内は、照明が薄暗く抑えてあり、テーブルに囲まれたステージではジャズの生演奏が始まり、軽くスイングしたジャジーな曲がラウンジ内を優しく包み込み、しっとりとした穏やかな気持ちにさせてくれる。 男が決めた待ち合わせのバーラウンジ。 女はいつもどおり男がリザーブした窓際の席に腰を下ろし、最近時間にルーズになった男を複雑な心境で待っていた。 ・・この席に腰を下ろすようになってから、どれくらいの時が経ったのだろうか・・ 女はメンソールのスリムなタバコをケースから取り出し、火をつけると、脚を組み直し、再び窓の外に目を向け、数年前の出来事を思い返した。
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